今日届いてすぐ読んだ。正直、ラッパーになってからの事が大半かと期待してたけど、それ以前の事の方が多かった。HIPHOPはライフスタイルと地続きやから生い立ちにある程度のページが割かれるのはしゃーないし、それはそれで面白かったけど。
うーん本当はこの本のレビューみたいなの書こうと思ったけど、なんか色々難しいから適当に書いていこかな 笑
まぁとりあえず全体的な感想としては、
「D.O、全然悪党じゃねぇ!!」と思った 笑
D.Oはやる事めちゃくちゃやけど、大切なところで筋はきっちり通してる。デンジャラスどころか凄い誠実!!
世の中から見れば、僕も”悪党”かもしれないけど、騙したり、嘘ついたり、ズルしたりはしなかった。
人を陥れるような悪事は、必ず自分にはね返ってくる。カルマだ。
D.O – 「悪党の詩」より一部抜粋
D.O、全然悪党じゃない説
中二の時に強豪のバスケ部に未経験ながら入部→「仲間や顧問の足を引っ張りたくない」と卒業までやり遂げる。それまで頻繁に行ってた不良の溜まり場に行く回数も激減。
高校を一年で退学→その後、「ちゃんと高校は卒業する」と親に言い、学費を払いながら一人暮らしをはじめる。
雷の先輩にステージ上で血まみれにされる→「ラッパーだから暴力で解決したくない」との思いから、殴り込みに来た仲間をむしろなだめる。
えん突つレコーディングの仕事を無給で手伝い→本来の役目はRINOのボディーガード。しかも駐車場代1日1万円実費。
えん突つから出した1stアルバムの売り上げが一銭も入らない→勉強代と割り切る。
600〜700万の経費を立て替えたコンピの売り上げが一銭も入らない→勉強代と割り切る。
逮捕で2ndアルバムがポシャる→「自分が悪いから誠意を込めて謝るしかない」と、各方面に直接謝罪して廻る。
最後のは自業自得やけど、それでも凄いちゃんとした人間じゃない?トラブルがあってもそこで逃げないし、物凄く辛抱強い。こういう生き方がそのままプロップスになってるんやろなぁ。特にHIPHOPの世界に足を踏み入れてから、普通の人ならストレスでおかしくなるような状況やのによく耐え忍んだな、と。
兄貴らが開けてくれた引き出しの扉
1999から2000年 認められるまで見せた動きで
本気だから我慢もしたぜ
D.O – N-WAY
レーベルとの確執
当時のレーベルどこも酷すぎっ!! 笑
MSCをはじめとする所属アーティストとLIBRA RECORDの確執は言わずもがなやけど、D.OはD.Oでえん突つレコーディングと色々あったし、状況がそっくり。しかもD.Oの場合は個人対社長。
しかも所属アーティストというより、雷の見習い的なポジションで立場も弱い時やったから、そらもう大変やったろう….
ZEEBRAの自伝にも書いてたけどFUTURE SHOCKも解散のきっかけは、OZROSAURUSを始めとする所属アーティストとの確執が原因やったらしいし…この世代のラッパーはみんな契約で揉めたりしてんねやな。
レーベルの馴れ合いと俺のクリエイト
家族のようだが金にはHate
まぁ勘ぐるくれぇなら濱に帰ろう
OZROSAURUS – Profile
良い意味で予想外
D.Oに限った話じゃないけど、自伝を読むと毎回それまでのイメージと違う事が幾つかある。
その1つが、例えばD.Oって勝手にずっとブラッズ系のギャングやと思ってたけど、本人曰くギャングでは無いらしい。喧嘩要員として駆り出されたりはしてたけど、基本はヤンチャな喧嘩少年みたいな感じやったみたい(自伝ではそこまでヤバイ話は出てきてないけど、曲を聴く限りどう考えてもヤバイ世界の住人なんやけど)。ギャングでも暴走族でもローライダーでも無いけど、どことも交流があるという不思議な立ち位置。それが許されていたのが逆に不良としてのD.Oの凄さでもあるんやろうけど。
あと俺はずっとD.Oの事、雷の後輩、「Twigyのお付きの人」ってイメージやったけど、もともとはRINOのボディーガードとして雷と行動をするようになったらしい。だからそもそもラッパーとしてではないし、もちろんTwigyのお付きでもない。何が凄いってD.Oはもともとラッパーを志してたものの、それを雷のメンバーには言って無かったってこと。あくまでボディーガードとしての役目を全うしながら、たまたまRINOに「ヴァース入れてみなよ」って言われたチャンスを物にしたっていう。
そして一番意外だったのが、「すべてに於いて計算的」だということ。たとえばあの独特な言葉遣いを含めたラッパーとしてのキャラ設定、プロモーションの仕方など。
破茶滅茶な学生時代や、雷の下積み時代も全ての経験を余す事なくラッパーとしての糧にしてる。頭が良いというか何というか・・・全てのアクションに意味があるというか。うまく言えんけど、ここまでラッパーとしての活動がライフスタイルと直結してるラッパーも珍しいな、と。
誰もが意識していた「MACCHO」「TOKONA-X」
D.Oはラッパーとして活動する前に、般若はラッパーとして八方塞がりの時期にそれぞれ同世代のMACCHOとTOKONA-Xを意識していた。(漢の自伝にも名前出てきたと思うけど、自伝借りパクされてるから忘れた)
やっぱり彼ら世代にとってこの2人は別格やったんやな。こうなれば是非ともMACCHOの自伝も読んでみたい。特にYOUNG GUNZの時期とか。
あぁそういえば、D.Oの自伝ではD.M.Cの事とか書いてなかったな。
最後に
別に自伝やから他の本と比べる必要は無いと思うけど、たとえば漢の自伝なんかは、単純に笑える面白さがあるし、般若の自伝は「いじめられっ子の成り上がり」「金と夢と仲間の間での葛藤」などのトピックがあるからHIPHOPに興味が無い人にとってもそれなりに楽しめると思う。そして、いずれも他のラッパーとのエピソードがチラホラ出てくるからそういう点でも面白い。
逆にD.Oの自伝は、ほとんど他のラッパーについての言及がないから(出てきても結構コアなところ)、もともとD.Oというラッパーが好きな人以外にはあまり面白いものでは無いかもしれん。
なんというか、この自伝を通して教訓めいた事を学べるわけではなく、ただただ「D.OがどれだけHIPHOPなのか?」ということが詰まった本やと思う。
個人的には、もうちょっとラッパーとして活動を始めてからの話を色々と知りたかったけど。
ちなみに、自伝を読んでから過去の作品を聴きなおしたんやけど、やっぱり自伝読むと当時は分からなかった曲の意味とか、ターゲットが理解できて楽しいね。
首つり台までエスコートしますよ社長
どでかい事故とかで怪我とかしないよう
田舎の実家が家事とかならないように家族にもさせとけ逃げる用意
D.O – LUV SONG
一曲丸々めちゃ怖いんですけど 笑
ま、ちゃんとこの本の魅力を説明できたか分かりませんが、結局買って読めば全部分かるから買え!!ってことで 笑