例えばJP THE WAVYの「Cho Wavy De Gomenne」とか、Pizza Loveの「アイマユウタ」だとか、SNSでバズって注目されるラッパーが増えてきたなー。
そんな中、SNS経由で知ってツボにハマったのが「SATORU」っていうラッパー。
てか、こういうギャングっぽいラッパーの曲がバズるなんて珍しくない?
HIPHOPという狭い世界の話であって一般的にはバズっていうほどでも無いかもしれんけど。(まぁでもバズっていう・・・使いたいし 笑)
いやーイカツイですねー。
まぁ彼のバックボーンとかそういうのはこのインタビュー記事を読めばだいたいわかるんやけど(インタビュワーの人ナイス!)、なんというか・・・見た目はコテコテのギャングスタラッパーなのに新しいな、と。
どの辺が新しく感じたかと言うと、ヒリヒリするようなスリリングさの中に絶妙な”ユーモア”があるところ。
絶妙なユーモア加減!
こんな事言うと語弊があるかもしれんけど、歌詞は思わずクスっとしてしまうぐらい超ストレート。良い意味でバカっぽい。
たとえばSNSでバズった曲を聴いてもらえれば分かると思うけど
良い意味で全く捻りが無いフルスイングのリリック。
俺らのヒーローMAKA 舐めたらかちこむ馬鹿
MAKA/SATORU
字面では伝えきれんけど、「ばかっ!」って言い方とかもツボなんよな、個人的に。
2曲目なんてタイトルからしてヤバイけど、リリックも
ロリコン野郎(まざふぁきびち!) クソメガネのデブ(まざふぁきびち!)
まざふぁきびち/SATORU
…「クソメガネのデブ」って 笑
なんというか、めちゃくちゃ鬼気迫る感じでラップしてるのに、ちょいちょい放り込んでくるリリックとのギャップが病み付きになる。
きっと壮絶な人生を送ったであろうことは想像に難くないんやけど、本人が狙っているのかいないのか、良い意味で笑えるおかげで普通の人には感情共感できないリリックなのに”キャッチーさ”がある。
不良だとかギャングスタ系統のラップは、だいたい生い立ちをリリックにしたところから出発するけど、ただでさえ聴く人を選ぶHIPHOPの中でも更にコアな人しか聞かんのよね。
もう過去に名刺代わりの生い立ちソングで成功してるラッパーは多いから、たとえどれだけ壮絶な人生をリリックに落とし込んだとしても、だいたいは「誰か知らんやつの生い立ち語られても…」ってなると思う。普通は。
こんな角度から来る?っていう
HIPHOPは強烈なバックボーンはそのまま武器になる音楽でもある。
だからこそ、壮絶な生い立ちだった人はそれをそのまま曲にしがちなわけで。
でも選ばれやすいトピックだからこそ、リスナーを惹きつける”何か”が必要になる。
薄暗い部屋の単独の独房 読書黙想か想像で独走
GROWTH/ANARCHY
くじけた背中を洗うソープ嬢 泡と流す殺気立つ毒を
小名浜/鬼
見て聞いて言わざる前に 着飾って汗・血・涙を見る
ホンネ/RYKEY
例えば上記はANARCHY/鬼/RYKEYそれぞれの生い立ちをテーマにした曲からの引用で、いずれも彼らの代表曲って言っていいと思う。
上記のラッパーたちの代表曲と比較すると、SATORUのリリックはシンプル過ぎるほどシンプル。
ANARCHYもRYKEYも鬼も、自分の生い立ちをラップしているという点ではSATORUと一緒やけど、リスナーを曲の中に引き込ませようとする丁寧さ?がある。
それに比べてSATORUの曲は個人名もいっぱい出てくるし、唐突に
りょうすけ車燃やした 俺は刺された太もも
MAKA/SATORU
みたいなインパクトのある言葉が耳に入ってきたりして、最早リスナー置き去り状態 笑
それでも何故かSATORUの曲は「もっと聴きたい!」ってなる不思議。
というか、だいたい強烈な生い立ちを曲にしたものはシリアスな曲になりがちで、SATORUの曲もシリアスっちゃシリアスやけどチョイスする言葉のせいでちょっと面白かったりする。
でも、所謂お笑い系のラップでは無くて、むしろめちゃくちゃ王道なHIPHOPマインドを持ってると思う。
だからこそ、良くも悪くも普通にシリアスに生い立ちをラップしそうなのに、その角度から来る?っていう 笑
MCネームも小洒落たものじゃなくて”SATORU”やし、タイトルとかも含めて、等身大過ぎるほど等身大やなっ!!と。
最近公開された新曲も「周囲の目とか気にせず言いたいこと言ってるんやろな」っていう。
聴く人によってはめちゃくちゃ嫌悪感のある曲やと思うし、過激な言葉が並ぶから曲の意味誤解されたりするんこともありそうやなーと思うけど、きっと本人は全く気にしてないと思う 笑
そういうスタンスがめちゃくちゃ”ラッパーらしいラッパー”やなと、個人的には好きです。
インタビューを読んで思ったこと
ここまで曲から受けたイメージだけで勝手に色々と書いたけど、このインタビューで読んでて「発想が天才かよ!」と思った 笑
たとえば最初に貼ったPVの曲「MAKA」は同郷の先輩ラッパー”MAKA”へのリスペクトソングやねんけど….
自分の家庭環境だったり、ネガティブな感情だったりを詰め込みました。フリースタイルバトルとか見ればわかる通り、MAKAくんは地元のヒーローなんですね。MAKAくんとは全く関係ないんですけど、「MAKA」にこのリリックを乗せれば、そのネガティブなものさえもうまくいく気がして、あえて混ぜました。
https://note.mu/yoshihiphop/n/n2ced9aac88bc
普通さ、たとえばリスペクトソングって、その人との出会いだったりをリリックにしたりするやん?でもSATORUのこの曲はHOOKこそMAKAの事をラップしてるけど、自分の話が中心で、しかもまたそれがめちゃくちゃ過激っていう。
この組み合わせを思いつく発想がそもそも凄くない?
「タピオカ」と「ヤクザ」ぐらい正反対ものを組み合わせてるその発想力よ。
インタビューを読めば「なるほど」とはなるんやけど 笑
「MAKAの後輩にこんなやついんの? 」ってなれば面白いなと。これからMAKAくんに対する見方とかも変わっていったらいいなとも思ってて、「舐めたらかちこむぞ」ってリリックも入れました。
https://note.mu/yoshihiphop/n/n2ced9aac88bc
たしかに面白い。
あと凄い客観的に自分の事見てるなって。
自分の考えるHIP HOPの本質ってのは、メッセージを伝えることなんですけど、今のスタイルって実際に起きたことだけをブワーっと言ってるだけで、メッセージ性はまだないんですね。
https://note.mu/yoshihiphop/n/n2ced9aac88bc
あー、じゃあやっぱりSATORUの曲聴いてクスってなるのは計算なんやろなーと。
ちなみにリリックがシンプル過ぎて〜って書いたけど、ちょいちょいリリシスト感見せつけてくる。
個人的に「おっ!」と思ったのは
弱音よりゲロ吐く彼女
MAKA/SATORU
とか
諭吉が地べたで汗かいてる
MAKA/SATORU
とかね。
本当はめっちゃ頭良いんちゃうか?って。
ってなわけで、最近の気になるラッパーの紹介でしたー。
⚠️[18歳未満による視聴を禁止します]
— SATORU (@SATORU26287773) 2019年8月14日
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薬物中毒で売春婦だった俺の彼女
ドス黒いくまを作る俺の彼女
シャブの切れ目に激しく泣き果てる俺の彼女
1日に数十万稼ぐ俺の彼女
金と引き換えに俺から愛を買ってく彼女
綺麗事も大好きだけど真実だけを話すよ
真実を語らない更正はありえないからね pic.twitter.com/0QmfmLzebg